雪の降った直後は、いくらでも書けそうなことがあったのに、
今日のように、室内にいる限りは春うららのような陽気になると、
雪で疲労困憊していた記憶も、雪のように解けてしまいます。
早く書いておかなきゃ・・・。
博多駅のビルにあるホールでまんじりと眠れぬ夜(寝たけどね^^;)を過ごした翌朝、
担当のJRの職員の人達は相変わらず低姿勢。
どんな質問にも、面倒くさがらずに答えてくれます。
佐世保行きの特急は朝7時半には、動き出したというのに、長崎行きの特急はいつまで待っても運行開始の案内がありません。
もしかして今日も帰れないのか、という不安が大きくなってきます。
前の日、博多に戻る列車の中で「じっとしてちゃいけないんだ」と反省したこともあって、
よし、佐世保経由で帰ろう、もしダメでもそこから歩けばいいさ、と決意しました。
待機所のホールから、改札の階へ降りると、人、人、人、人、・・・・。
みどりの窓口も長蛇の列です。
チケットを買うためには並ばなければなりません。
佐世保行きの発車時刻が近づいても、なかなか順番が回ってきません。
あせる。
改札だけスイカで抜けて、後で清算するか・・。
それとも、発車時刻に間に合わなくてもこのまま並ぶか・・。
どうする?
後者を選択しました(笑)。
もうこれだけ待ったのですからね。
今さらあわてても仕方ない。
発車時刻を数分過ぎて、やっとチケットが買えて、「この数分だけ間に合わないところが自分らしいや」と諦めつつ改札の電光表示板?を見ると、
まだいる
天は我を見放していなかったのです。
よし!と思ってダッシュでホームへ行ってみると、人、人、人、人・・・・。
人が多過ぎて、行列なのか、ただ人がランダムに佇んでいるのかさえわかりません。
普段乗り慣れないので、自由席、指定席の区別もわかりせん。
とりあえず、何か(笑)の最後尾らしいところに並びました。
皆さん、不安なのでしょう。
入ってきた電車から、業務を終えて降りてきたJRの運転手さんやら車掌さんやらを捕まえては、いろいろ質問しています。
それに面倒くさがらずに答えていましたよ。身振り手振りもまじえて^^。
結局、発車時刻なんてあって無いようなもので、ホームで電車が来るのを1時間待ちました。
ボクは、遅く並んだほうなので、他の皆さんは、いったい何時間待っていたのでしょう。
ドアがやっと開いて乗り込んでみたら、そこは指定席車両でした。
残念。到着までデッキで立ったまま行くことが決定です。
ところが、デッキで立っていたら、後から後から人が乗り込んで来るので、車両内の通路に押しやられてしまいました。
そこは指定席。座席が数か所空いていましたが、座るわけにいきませんね。
すでに座っている人が皆さんは
「指定席券も持ってない奴は座るんじゃないぞ」
と言わんばかりの、視線を投げかけてこられます。
そうでしょう。
自分の指定席があれば、自分もそう思ったはず。
とうとう、車両の隅まで追いやられて立ち止まると、座っている人が半分立ち上がりながら、
「この席の人ですか?すいません、どうぞ」
と、僕に席を譲ろうとします。
「いえいえ、指定席券持ってませんよ。大丈夫です。」と返答したところ、
そこらへんに座っている人が皆さん、
「私も指定席券無くて座ってます」と口々に言いはじめました。
僕が「指定席券も持ってない奴は座るんじゃないぞ」と勘違いしていたあの視線は、
「指定席券持ってなくて座っているけれど、あなたは私の座っている席の指定席券を持っている人ですか?」
という不安な視線だったのです。
運行時間がめちゃくちゃで、指定席券を持っていながら、乗るのを諦めた人が多数いるというか、誰も指定席券で乗っていないらしいです。
いろいろ判明した途端、その場が一気になごんで、「どうぞどうぞ」と皆さん自分の席でもない席を譲り合って、ボクも座ることができました。
いや、ホントは座れそうになかったのですが、若い人が席を譲ってくれたのでした。
いくら疲れていたとはいえ、遠慮することもなく座ってしまった自分が恥ずかしい。
恥ずかしいけど、久しぶりに座れて嬉しい。。
・・・
それからまだ10分ぐらいして、やっと列車が動き出しました。
そして二人のカップル登場。
何やら、チケットを持って不安そうです。
指定席券無くてもここに居て大丈夫なのですよ、と自分が受けた恩返しをするつもりで声をかけたところ、
なんと、自分が座っている席とその隣の席の指定席券を持っていらっしゃいました。
「ああ、すいませーん」と立ち上がり、一緒に座っていた隣の席の方と「ピンポイントでしたね。」と苦笑いです。
まわりの人も状況が分かって、自分の席じゃなくて良かったという安堵感と、結局立つことになったぼくらへの同情の眼差しを向けています。
その後、運の良いことに、そのカップルは意外に早めに降りていき、また座ることができたのでした。
優しさと切なさと心強さも大切ですが、
優しさとちょっとした厚かましさも、世の中を回すのに役に立ってるんじゃないかと思いました。